前田清貴先生 講演会要旨 (2025/07/02)

前田清貴先生は、長年にわたり全国で病院建設を手掛けてきた経験(徳洲会時代に65病院)に基づき、御殿場市における新病院設立の必要性と実現に向けた具体的な構想を語りました。

1. 講演者の経歴と問題意識

  • 豊富な経験: 徳洲会グループで救急医療体制の構築と全国65の病院設立に携わった第一人者。現在は独立し、複数の医療・介護施設を経営。
  • 日本の医療の課題: 50年以上変わらない旧態依然とした行政システム(特に病床規制)が、地域医療の歪みを生んでいると指摘。国が医療費削減のために病床を減らそうとする現状を「命をお金のために削るのか」と批判。
  • 政治の重要性: 千葉県での病院設立が知事の理解で進んだ例を挙げ、住民の声で政治家を動かすことが不可欠だと強調。荒川先生が進める8,000人の署名活動を「可能性が出てきた」と高く評価しました。

2. 新病院のコンセプト「救急とAIを核とした未来型病院」

先生が提案する病院は、既存の医療機関と競合するのではなく、地域に決定的に不足している機能を補うことを目的としています。

  • 救急医療への特化:
    • 24時間365日、救急患者を断らない体制を構築。一般外来は原則行わず、地域の開業医との連携を重視。
    • 心不全、緊急手術、感染症、緊急透析など、一刻を争う急性期医療に集中。
  • AIの全面導入による医療革命:
    • 「AIドクター」の活用: 医師の診断をサポートし、少ない医師でも質の高い医療を提供。
    • 業務効率化: AIによる看護記録の自動作成(30分→数分)などでスタッフの負担を軽減し、「少数精鋭」の経営を実現。
    • 救急搬送の迅速化: 救急車の中からスマホで患者情報を送信し、病院到着時には診断と治療準備が完了している体制を目指す。
  • 地域医療連携のハブ(中心)となる:
    • 地域のクリニックや介護施設、在宅診療で急変した患者の受け皿となることを明確に約束。
    • 電子カルテを連携させ、地域の医療者がいつでも患者情報を確認できるシームレスな体制を構築する。

3. 設立に向けた課題と解決策

病院設立の最大の障壁は「許可病床の確保」であるとし、その解決策を具体的に示しました。

  • 許可病床の確保:
    • 鍵は住民の力: 1万6千人を目指す署名活動が最も重要。圧倒的な民意があれば、行政や政治家は必ず動くと断言(「どんな市長さんでもなびいてきます」)。
    • 政治家への働きかけ: 全ての政治家に建設への賛否を問うアンケートを実施し、公表するなどの戦略も提案。
  • 医師・看護師の確保:
    • 「箱(建物)と機械があれば医師は来る」: 最新の設備、AIを導入した先進的な教育環境、そして富士山の見える魅力的な環境があれば、優秀な医師は全国・世界から集まると自信を見せる。
    • 国際的な教育機関: 海外の医師も招き、国際的な教育病院とすることで、御殿場の病院のブランド価値を高める。
  • 資金調達:
    • 許可さえあれば問題ない: 許可病床が確保できれば、金利の安い公的資金や病院債、民間からの投資など、資金は集まると断言。

結論:住民の力で、世界に注目される病院を

前田先生は、「人の喜びを我が喜びとする」という利他の精神を掲げ、このプロジェクトは単なる地域病院建設に留まらないと述べました。富士山の麓に、AIを駆使した国際的な救急病院を作るという夢を語り、その実現の鍵は「皆さんの力(署名活動)で政治家を動かし、許可病床を確保すること」だと力強く訴え、講演を締めくくりました。

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